この記事ではタロット占いの際に非常によく使われることの多い、「ケルト十字」のスプレッドについて解説をしていきます。
まず、その基本的な解説から入り、次に各場所に割り振られた意味と、その解釈の方法を順を追って解説をしていきます。
また、最後に恋愛占いの際を例にとって、ケルト十字スプレッドでどのように解釈をすれば良いかのポイントも解説していきます。
この記事の内容
タロットのケルト十字とは
タロット占いにおいてケルト十字スプレッドは最も使い勝手の良いスプレッドとして愛用され続けているスプレッドです。
ケルト十字とは、円形の図形と、その中心点を通る十字のマークが重なり合ってできるシンボルのことを言います。
このケルト十字に表されるシンボルは、コズミック・サークルと言われることがあるように、宇宙のあり方そのものを象徴していると言われています。
スプレッドではこのケルト十字をかたどった円形のセクションと、縦に4枚並べられる棒のセクションとに別れていますが、
円形のセクションが女性エネルギーを意味しており物事の発生の側面を、そして棒のセクションが男性エネルギーを意味しており物事の俯瞰の側面を意味しているとも捉えることができます。
どういう時に使うのか
使用する枚数は10枚であり、10枚それぞれの組み合わせを見ていくことによって、質問に関する物事を細部に渡って考察することが可能です。
このスプレッドは、状況について、潜在意識・顕在意識の双方向からのアプローチが可能であり、また過去から未来の推移、そして当事者を取り巻く環境や当事者の能力など、
特定の問題を多方面から深く掘り下げていって、詳細に分析したい時に有効なスプレッドです。
対応可能な占いは非常にオールマイティであり、具体的な相談から、漠然とした相談まで幅広く見ていくことができます。
ただし、占者自身のタロットカードに対する深い知識と鋭い洞察力および感性が要求されるスプレッドであるため、
誰でも使いこなせるスプレッドではなく、
何度も繰り返しこのケルト十字スプレッドに慣れていく必要があるでしょう。
図説
当サイトでは、ケルト十字スプレッドの配置の意味と順番とを上の画像の通りに設定しています。
書籍によってケルト十字の順番や割り当てられる意味には相違がありますが、スプレッドとは本質的には占者とタロットカードとの約束事・儀式であるため、自分が一番しっくりくる配置と意味を選ぶと良いでしょう。
ちなみに、上記の画像のケルト十字の配置と意味については、
こちらの「タロット解釈実践辞典」でも同様の意味と順番です。
配置の順番と意味
それでは上の図説で掲載した画像に沿って、
ケルト十字スプレッドを並べる順番とその意味について、
表にまとめました。
意味については、次の「ケルト十字スプレッドの読み方」の箇所にてより詳細に解説をしています。
順番 | 意味 |
---|---|
1 | 現状 現状、問題の核心、現在の状況(外的)、現在の状況(内的) |
2 | 現状に対する第二の要素 キーカード、対策、原因、理由、アドバイス、メッセージ |
3 | 過去の状態 1の現状が過去にはどのような状態であったか、影響、原因、理由、弱まっていく影響、解決した要素、忘れられていること |
4 | 未来の状態 1の現状が未来にはどのようになっていくか、近づいてくる影響、結果、未解決の要素、これから現れること |
5 | 潜在的な事柄 目には見えていない事柄、気が付いていない事実、潜在意識にあること、無意識下での影響、未知の要素 |
6 | 顕現する事柄 質問に関する事がどのように顕現しているか、どこまで到達する可能性があるか、顕在意識、気づいている影響、目標、目的、顕現しうる未来 |
7 | 質問者の状態(客観x自分) 問題に対する捉え方、姿勢、置かれている立場、有利な点、不利な点、表向きの自分、客観視した時の自分 |
8 | 質問者の環境(客観x他者) 質問者を取り巻く外的な環境、質問の対象となっている相手、他人の見解、他人の期待、他人が思う自分 |
9 | 質問者の能力(主観x観察) 質問者の価値観、ガイダンス、鍵となる要因、希望と恐れ、見落としている要素、事態を左右するもの |
10 | 最終結果 質問に対する答えを象徴、総合的な結果、結果が及ぼす影響 |
ケルト十字スプレッドの読み方
それでは次に、上で一覧で示した各位置の意味についてもう一歩踏み込んだ解説を加えます。
各項目には番号が割り当てられていますが、これらの番号は、「図説」の画像の番号と対応しています。
1.現状
一番真ん中に縦位置で置かれるこのカードは、質問となっている事について今現在どのような状態になっているのかという事を端的に言い表します。
ただし、現状といっても色々な側面での評価が可能であり、
出されたカードの意味や他のカードとの兼ね合いから、
それが外的・内的のどちらの観点からの現状の評価なのかを見る必要があるでしょう。
またそうした観点から見た時に、この位置に置かれたカードは、問題の核心部分に迫っており、主要な影響や目立っている特色を暗示しています。
タロットリーディングの際の基本的な主軸を決定するのに大きな影響力をもつカードとなります。
2.キーカード
1枚目のカードに対して横向きに重ねられるのが2枚目のこちらのカードです。
置き方は上側を右側に回して置き、こちらのカードについては正位置・逆位置の判断はしないのが一般です。
意味としては1枚のカードが示す問題の核心部分に対して、追加的な情報を加える役割があります。
1枚目が問題を読み解くスタート地点の設定であるとするならば、2枚目のカードでそのスタート地点からどのような方向にリーディングを進めていくかを指し示しているとも言えるでしょう。
意味としては、問題の核心に対してどのような姿勢で取り組むべきなのかであったり、問題に潜む対立要因や変化の要因、もしくは付随する第二の要素や状況を強める要素として捉える事ができます。
この、1枚目と2枚目は、ケルト十字の円形セクションの中で、小さな十字として見ることもでき、該当の問題に対してよりクローズアップされた事柄がそこには示されていると捉えることが可能です。
何れにしても、1枚目x2枚目によって意味される事が、
タロットリーディングの際の大筋の目安となるでしょう。
3.過去の状態
円形セクションの、左側に置かれるのが3枚目のカードで、
こちらは1番目のカードで示された問題や状況が、過去の時点においてはどのような状態であったかを示すカードです。
どのくらい過去のことを示しているかという点に関しては、
そんなに遠い出来事を意味しているわけでなく、
直近の過去であったり、当問題に対して顕著な影響を及ぼした過去であると判断しましょう。
意味するところは過去ですが、解釈の際にはその事柄が現在にまで影響を及ぼしている事、原因や理由となっていること、
またそれと同時に未来までを含む視点で見ると、それらの要素はすでに終わった過去の事、そしてこれからはその影響力が薄れていくことがそこには示されています。
今に続いた過去であるのだが、その影響は薄れていくことに注意しましょう。
4.未来の状態
円形セクションの右側に置かれるのが4枚目のカードで、
1番目のカードに示された問題が、時間の経過の中でどのような状態へと推移していくのかという点がそこには示されています。
つまり、ケルト十字の横線を辿ることで問題の時間的推移を読み解くことができるわけです。
また、解釈のポイントとしては、未来の状態であることから、
これから強くなってくる影響力や要因、またこれから未解決の問題として浮上してくる要素、これから受け入れていく事、
までを示していることにも留意しましょう。
解説書によっては、当記事のように左から右に過去→未来という流れではなく、右から左に過去→未来という解説がされているものもありますが、
直感的にも時間の推移は左から右に流れるように描くことが多いかと思いますので、左から右にかけて時間の推移を設定するのが妥当かと思います。
5.潜在的な事柄
円形セクションの下に置かれるのが5番目のカードで、
これは質問に関して目には見えない領域に隠れている事柄を指し示しています。
このことは、質問者の潜在意識・無意識下で起こっている心理を指し示していることもあれば、
問題の核心部分に関連する未知の事柄、不可知の根本要因を暗示している場合もあるでしょう。
いわば氷山の海面下に埋もれている膨大な領域を端的に指摘しており、
問題の根底に流れる根本的な要因が一体どのようなものであるかを示しています。
このカードでは、過去にあったトラウマや原因について言及されていると解釈しうる場合もありますが、
3枚目のような時間軸上からの視点とは異なることには注意が必要でしょう。
6.顕現しうる状態
円形セクションの上に置かれるのが6番目のカードで、このカードによって問題の核心部分がどのような形で表に現れてくるのかということを見る事ができます。
この位置の解釈については、書籍によって色々な解釈がされおりいまいち統一的な説明が見当たらないのが正直なところでしょうが、
共通することとしては、物事の顕現しうる状態とすることができるでしょう。
例えば、タロットリーディングの方向性が質問者や当事者の意識に焦点が当てられているのであれば、顕現しうる状態として顕在意識、認識している自意識といった事がそこでは示されているでしょう。
一方で、世の中的な現れの方向性での意味であるならば、状況が実際的にどのように表出してくるのかや、
どの程度まで現実化するのか、到達するのか、という可能性を示しているとも取る事ができるでしょう。
何れにしても、どういった文脈での「顕現」であるのかはカードの意味や他のカードとの兼ね合いで決まります。
問題がどのように顕現するのかという点において、未来の出来事を指し示すこともありますが、
時間軸上からの視点での暗示ではないことには注意が必要です。
7.質問者の状態
さて、7枚目からは円形セクションからは移り、縦に伸びる棒セクションへとなります。
1枚目から6枚目が「問題の創出」に焦点があるとするならば、
7枚目から10枚目は「問題の観察」に焦点があると捉えることが可能です。
そして、この棒セクションの一番下は7番目に置かれるカードであり、
質問者や当事者の状況が客観的視点からそこには示されています。
主観や感情的要素なしに、端的に事実としてどのような状態なのかが淡々と語られていると捉えると良いでしょう。
具体的には、質問者の状態であったり、考え、置かれている立場、有利な点、不利な点などがそこには示されています。
他にも、自分自身が自分という存在を客観的にどのように見ているのかということもそこには示される可能性があり、自然体の自分、表向きの自分、自分が認識している自分という存在、
という意味として解釈することも可能です。
それは主観なのでは?と思われるかもしれませんが、自分という存在を観察するという観点での意味で捉えましょう。
8.質問者の環境
棒セクションの次に置かれるのが8番目のカードで、質問者や当事者を取り囲む外部的な環境を示しています。
イメージとしては、自分を含む社会全体を遠目から観察しており、
自分という存在とそれに関わる外部の要因との関係性を見ていると捉えることができるでしょう。
具体的には、他人の意見や、他人の期待、他人から見た自分といった他者に関することであったり、
自分を取り囲む物質的環境、思想的環境がそこに示されている場合もあるでしょう。
9.質問者の能力
次に置かれるのが9番目のカードであり、このカードもその解釈方法は人によってばらつきがあるので、
統一的な理解が難しいところです。
かろうじて統一的な解釈をするとするならば、「主観x観察」と私は表現しており、自分の主観がどのようであるかを観察する視点と捉えることができるでしょう。
具体的には、質問者の能力、価値観、もしくは問題に対する希望や恐れ、
もしくは鍵となる要素、見落としている要素、高次からのガイダンス、メッセージ、
がそこには示されていると解釈する事が可能です。
鍵となる要素や見落としている要素、また高次からのガイダンスという意味は、もしそれが客観的に観察可能な事であるならば自明の要素として円形セクションに言い表されているはずでしょう。
客観的に観察不能であるが、主観的には観察可能である事柄が9番目のカードには示されていると捉えることが可能でしょう。
10.最終結果
そして最後に置かれるのが10番目のカードであり、このカードでは質問に対する答えが象徴的に語られていると捉えることが可能でしょう。
具体的には、総合的な結果や、内面状態についての結果、行動面についての結果、結果が及ぼす影響などとして観察可能な事柄がそこには最終的な要素として示されるでしょう。
ただしあくまでもその意味するところは包括的、抽象的な意味に止まり、解釈の際には際立った取り扱いを避ける必要があることは注意しなくてはいけません。
読む際のポイント
ここまで、タロット占いで頻繁に使われることの多いケルト十字スプレッドについて解説をしてきましたが、
次に実際の解釈の際のポイントについても解説を加えます。
解釈の順番の目安
ケルト十字スプレッドでは合計10枚のカードが使われますが、
並べる順番通りに解釈を進めるというよりは、全体を見た上で各カードと各カードの間を行ったり来たりしながら徐々に解釈のストーリーの枠組みと詳細を作っていくのが良いでしょう。
一応、あくまで目安として見ていく順番を述べるとするならば、
1→2→6→5→3→4→7→8→9→10
となり、1番目と2番目の中央の小さな十字から問題がどのように表出しているかの核心部分と方向性を掴み、
その上でその核心部分の潜在部分と顕在可能性部分とを読み取り、
ケルト十字が示す事柄の大枠を掴みます。
その上で、時間的推移を確認して問題の解像度を高め、
その上で棒セクションで示される観察結果を頼りに、より問題の解像度を高めていきます。
キーカードの扱い方
2枚のカードは「キーカード」とも呼ばれており、
1枚目との関係のみを見るに止まらず、
他のカードの意味を見るときにも常にこの2枚のキーカードを重ね合わせるように解釈をすると良いでしょう。
なぜならば、2枚目のカードによって解釈の方向性が示されていると取る事が可能であり、
2枚目のカードを常に重ね合わせながら全体の解釈を進めていく事で、文脈のズレがなくなるでしょう。
1枚1枚を見る中で、気づいたら色々な文脈や観点が入り交ぜになってしまい解釈の方向性を見失うという事がなくなるでしょう。
円形セクションと棒セクション
また、すでに何度か軽く触れてきておりますが、
ケルト十字スプレッドは円形セクションと棒セクションとで成り立っており、
それぞれ円形セクションを女性エネルギーの現れ、棒セクションを男性エネルギーの現れと見ることが可能です。
つまり、女性エネルギーの現れというのは言い換えるならば創造のエネルギーであり、物事がどのように現象化しているのかを見る事ができます。
一方で男性エネルギーの現れというのは、言い換えるならば意志がどこに定めるかを決定する力であり、創造物の中に埋没せず常に創造物の外からそれらを眺めているイメージです。
そのため、ケルト十字を読む際にも、円形セクションからは問題がどのように創造されているのか、そして棒セクションからはどのような意志が働いてそのように創造されたのかを見る事ができると言えるでしょう。
恋愛占いの場合
それでは最後に、ケルト十字のスプレッドを恋愛の占いに用いた際にどのような解釈の流れになるのかという点について、
その例をご紹介します。
実際に並べられたカードに沿って解説することも可能ですが、それだとどうしてもそのカードの組み合わせに沿ったその場限りの解釈になってしまうので、
特定のカードに縛られずにどのように解釈すれば良いかを表でまとめました。
質問内容としては、「私と〇〇の恋愛での相性はどうか」というものとします。
場所 | 解釈の方向性 |
---|---|
1.現状 | 2人の関係の状態を端的に言い表します。 |
2.キーカード | 2人の関係を読み解く方向性を追加的に示します。 |
5.潜在的な事柄 | 2人の関係性の間に潜む潜在的要素はなにか |
6.顕現する事柄 | 2人の関係性はどこまで到達する可能性があるか |
3.過去の状態 | 2人の関係はどのような状態であったか(リーディングの文脈において) |
4.未来の状態 | 2人の関係はどのような状態になるか(リーディングの文脈において) |
7.質問者の状態 | 質問者は2人の関係をどのように観察しているのか |
8.質問者の環境 | 〇〇は質問者をどのように見ているのか |
9.質問者の能力 | 2人の関係についてどのようなアドバイスが来ているか |
10.最終結果 | 包括的に見て2人の関係はどのようになるのか |
まとめ
以上、タロット占いのケルト十字のスプレッドについて、
その基本的な意味の説明から、配置場所およびその順番と意味について解説をしてきました。
ケルト十字のスプレッドは非常に汎用性も高く、色々な場面で使えるスプレッドです。
使う枚数も10枚と多く、タロット占いの勉強の際にもカード間の文脈を読み解くスキルを伸ばすのにうってつけのスプレッドであると言えるでしょう。
一通りタロットカードの意味を覚えたら、ケルト十字スプレッドをマスターしてみましょう。
また、当サイトではタロットに関してそのほかにも色々な記事を出しておりますので、是非そちらもご参考ください。
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